GDLで木造2階建て壁量計算(存在壁量集計と判定)

一覧表を使って壁倍率、壁長さ、個数までカウントすることが出来ましたが、壁倍率、壁長さを掛けあわせた数値の集計はARCHICADでは出来ません。このレベルの処理はEXCELに出力して集計し、GDLで作成したフォームに各階各方向の存在壁量を代入する方法をご紹介します。

1.EXCELで集計しやすくするために、「スタイル:均一項目を結合」、「スタイル:見出しを表示」のチェックを外します。

2.「ファイル」→「名前を付けて保存」を選択し、EXCELワークブック(XLSX)形式に保存します。

3.EXCELを起動し、一番右列のセルを「存在壁量」として、壁倍率×壁長さ×数量となるように関数をセルに記入します。

4.範囲を選択し、「挿入」→「ピポットテーブル」を選択し、必要な項目にチェックを付けると、各階、各方向の存在壁量が集計されます。

5.壁量算定表(オブジェクト)を作成し、存在壁量の数値をEXCELから転記入力します。

1)必要壁量算定表オブジェクトを開き、存在壁量入力用のパラメータを追加します。

2)存在壁量と判定のためのスクリプトを入力します。
存在壁量>=必要壁量を満たす場合適の場合は「OK」、否の場合は「NG」と表示されるようにします。
if 存在壁量>=必要壁量 then hantei=”OK” else hantei=”NG”と入力します。

[全スクリプトサンプル]

!S_1F:1F床面積
!S_2F:2F床面積

!軽い屋根
!2F乗ずる数値0.15
!1F乗ずる数値0.29

!重いい屋根
!2F乗ずる数値0.21
!1F乗ずる数値0.33

!条件式
if yane=1 goto 10:
J_2F=0.15
J_1F=0.29
goto 20:

10:
yane=1
J_2F=0.21
J_1F=0.33

20:
text2 0,0,”壁量算定表(単位:m)”
text2 0,-1,”階”
text2 1,-1,”方向”
text2 3,-1,”床面積”
text2 7.,-1,”乗ずる数値”
text2 11.,-1,”必要壁量”
text2 0,-2,”2″
text2 0,-4,”1″
text2 1,-2,”X”
text2 1,-3,”Y”
text2 1,-4,”X”
text2 1,-5,”Y”

text2 3,-2,S_2F*1000
text2 7,-2,J_2F
text2 11,-2,J_2F*S_2F*1000

text2 3,-4,S_1F*1000
text2 7,-4,J_1F
text2 11,-4,J_1F*S_1F*1000

text2 15,-1,”存在壁量”
text2 15,-2,X2F*1000
text2 15,-3,Y2F*1000
text2 15,-4,X1F*1000
text2 15,-5,Y1F*1000

text2 19,-1,”判定”

if X2F*1000>J_2F*S_2F*1000 then hantei1=”OK” else hantei1=”NG”
text2 19,-2,hantei1
if Y2F*1000>J_2F*S_2F*1000 then hantei1=”OK” else hantei1=”NG”
text2 19,-3,hantei1

if X1F*1000>J_1F*S_1F*1000 then hantei1=”OK” else hantei1=”NG”
text2 19,-4,hantei1
if Y1F*1000>J_1F*S_1F*1000 then hantei1=”OK” else hantei1=”NG”
text2 19,-5,hantei1

line2 0,0,21,0
line2 0,0,0,-6
line2 0,-6,21,-6
line2 21,0,21,-6
line2 0,-1,21,-1
line2 0,-2,21,-2
line2 0,-4,21,-4
line2 1,-1,1,-6
line2 3,-1,3,-6
line2 7,-1,7,-6
line2 11,-1,11,-6
line2 15,-1,15,-6
line2 19,-1,19,-6

いかがでしたでしょうか?今回は、建物全体の耐震の検討でしたが、壁バランスや耐風等についても同様の方法で作成することも可能だと思います。もうひとつの方法として、面積や数量吐き出しまでをARCHICADで行い、計算表は全てEXCELで行う方法もあると思います。色々試してみてください!!

 

GDLで木造2階建て壁量計算(存在壁量拾い)

さて、今回は存在壁量の拾い方について説明します。存在壁量は、各階各方向の耐力壁の倍率×長さの合計です。ARCHICADには耐力壁の概念がありませんので
何かしらの情報を与える必要があります。
方法1
・壁の分類とプロパティに壁倍率新規作成し設定入力する
方法2
・オブジェクトで耐力壁を作成する
方法1は構造的な観点で壁を分割入力する必要が出てくるので、方法2の方が意匠入力中に余計な操作を考える必要がありません。なので、方法2で説明をしたいと思います。

1.耐力壁オブジェクト(2D)の作成
ファイル→ライブラリとオブジェクト→新規オブジェクトを選択します。
パラメータを追加設定します。壁長さはaのパラメータを使用します。

2Dスクリプトを作成します。耐力壁を線分で表現し、テキストで壁倍率と壁長さが目視できるようにします。文字のフォントやサイズ、アンカーポイントも設定します。

!壁長さ:a
!壁倍率:kabebai

line2 0,1,a,1
DEFINE STYLE “aaa” “Arial”,3,5,0
style “aaa”
text2 a/2,2,kabebai
text2 a/2,1.5,a

2Dビューで、パラメータの動きを検証します。

ファイル→名前を付けて保存→耐力壁.gsmとして保存します。
※今回は埋め込みライブラリとして保存します。

2.軸組入力用のレイヤーの作成

一覧表でX方向とY方向を拾い分けさせるために軸組用のレイヤー作成します。

3.一覧表の作成

要素タイプはオブジェクトに設定します。
フィールドは、一般(配置フロア、レイヤー、数量)を設定し、オブジェクト(長さ)を設定します。

オブジェクトで追加登録した壁倍率のパラメータを設定させるために、フィールドを追加の右側の▼をクリックし、「ライブラリ部品パラメータ」を選択します。

埋め込みライブラリ→耐力壁.gsmを選択し、壁倍率のパラメータを選択した状態で「追加」をクリックします。

右側の欄にパラメータがセットされました。

フィールドの順番の調整、スタイルを設定します。

4.入力と検証
柱を入力し、耐力壁を各階に入力します。
・壁長さ(a)を設定する
・壁倍率を設定する
・レイヤー:軸組X方向またはY方向に設定する

これで各階各方向の壁倍率毎の長さを拾うことが出来ました。
現状は集計までは出来ていません。倍率×長さ×数量の集計が必要になるので、最終的な集計はエクセルに吐き出して集計するか、GDLで別表を用意する必要があります。次回は集計表と必要壁量に対する充足率の判定表について説明したいと思います。

GDLで木造2階建て壁量計算(必要壁量)

壁量計算は概ね構造計算用のソフトかEXCELで対応されている方がほとんだと思いますが、ARCHICADでやるとしたらどんな方法があるでしょうか?

ARCHICADには一覧表機能があり、豊富なパラメータ値が拾えるようになっていますが、四則演算を組み込むことができません。令46条の計算を行うには四則演算や条件等を組み込むことは必須です。

ARCHICADで四則演算を唯一組み込める方法は・・・・GDLです。
数値は手入力なので、合理的な方法とは言えませんが、GDLで必要壁量算定表を作成してみたいと思います。
※GDLスクリプトの書き方については、How to ues ARCHICADの記事で作成した私の参照くたさい。

1.パラメータの設定
1階と2階の床面積、軽い屋根と重い屋根を切り替えるスイッチを設定します。
床面積は長さ(㎡)、屋根は整数で設定します。実際に入力するパラメータはこの3つだけで他は使用しません。

2.スクリプト
スクリプトは2Dスクリプトで作成します。
テキストサイズはシステム固定値のまま、罫線の位置等はパラメータを用いずにダイレクトに入力します(配置位置は下図のように設定)。
また、床面積は、㎜とメーター換算する必要があります。
例:パラメータに50と入力すると、スクリプト上は50/1000=0.05mと認識されるため×1000掛けることでメーター換算されます。AとBといった二つの数値の掛け合わせの場合は、それぞれで1000倍掛ける必要がありますが、1つの数値なので1000で問題ありません。

!床面積の宣言
!S_1F:1F床面積
!S_2F:2F床面積

!軽い屋根
!2F乗ずる数値0.15
!1F乗ずる数値0.29

!重いい屋根
!2F乗ずる数値0.21
!1F乗ずる数値0.33

!条件式
if yane=1 goto 10:
J_2F=0.15
J_1F=0.29
goto 20:

10:
yane=1
J_2F=0.21
J_1F=0.33

20:
text2 0,0,”必要壁量算定表(単位:m)”
text2 0,-1,”階”
text2 1,-1,”床面積”
text2 4.,-1,”乗ずる数値”
text2 8.,-1,”必要壁量”
text2 0,-2,”2″
text2 1,-2,S_2F*1000
text2 4,-2,J_2F
text2 8,-2,J_2F*S_2F*1000
text2 0,-3,”1″
text2 1,-3,S_1F*1000
text2 4,-3,J_1F
text2 8,-3,J_1F*S_1F*1000

line2 0,0,12,0
line2 0,0,0,-4
line2 0,-4,12,-4
line2 12,0,12,-4
line2 0,-1,12,-1
line2 0,-2,12,-2
line2 0,-3,12,-3
line2 1,-1,1,-4
line2 4,-1,4,-4
line2 8,-1,8,-4

いかがだったでしょうか?
このオブジェクトをワークシートに貼り付け、ビュー登録→壁量計算用のレイアウトブックに貼り付け→テンプレートに登録しておけば、使い勝手がぐっとあがると思います。次回は、存在壁量等にも触れていきたいと思います。