アルゴリズミックデザイン

本年度後期より「アルゴリズミックデザイン」の授業を試験的に開始することになった。とはいえ、Rhino+Grasshopperの様々な事例を通して、なんちゃってアルゴリズミックデザインを体験するという程度のもの。

これまで4年生は卒業制作という大義名分でほとんどの時間を自由時間にしてきたが、熱心に質問してくる学生も少なく、ただ時間を過ごすだけでメリハリが無い。また、他学科との共同テーマを行う学生は、待ちの状態で時間が過ぎてしまい、手持ち無沙汰になってしまうという現象が生じていた。ということで、卒業制作にとらわれず、本授業での課題は必要であるという結論。

ただ、課題を与えるといっても、ARCHICADやLUMIONはほとんど使いこなせるレベルに達しているし、設計課題を要求するのはこの授業の特性が活かせない。色々悩んだ結果、より高いレベルを求める学生に強力なスキルを与え、ある意味やることが無い学生へのモチベーションも保てる新しいテーマが必要ということで行きついたのが本テーマである。

20数年前に海外のGDLの書籍を翻訳したことがきっかけで、GDLの魅力に憑りつかれた。それは形は違えども「アルゴリズミックデザイン」であった。まだまだ人真似でしかないが、授業の内容を考える時間、学生に教える時間は、楽しくて仕方ない。

ライノの自由曲面をグラスホッパーでモルフの三角形形状に変換

これはちょっと難しかった。特に頂点座標から三角形を作成させるところ。無理に理解しようとせず三角形化する方法として割り切って使った方が良さそうだ。

ライノ
・自由曲線で断面を2本作成

GH
・1本の断面にY軸方向を定義
・2つの断面からサーフェースを作成
・UVと分割数を定義
・頂点座標を出力
・データ個数を出力
・頂点のインデックスを算出
・頂点のインデックスと頂点座標から3角形サーフェイスを生成
・モルフソリッドを生成

この他、最初に作った自由曲面ルーバーの上下の曲面からシェルで面を作れることも確認できた。ライノがそれほど出来ないグラスホッパー使いが多いと聞く。アーキがそれほど出来ないグラスホッパー使いもそのうち出てくるんだろうか。

パラメトリックタワー

引き続きRhinoceros/Grasshopper。困難なデザインがいとも簡単に作れてしまう。アルゴリズムで点群を発生させたものをモデル化するので、変数を変えるだけでガラッとデザインを変わられてしまう。

ざっりとした流れを記す。専門的な表現は触ったことがある人じゃないとわからないので簡単なフローチャートで。

まずはポリラインの建物を作る
・ARCHICADでポリラインを作る
・GrasshopperでACのポリラインの属性を認識させ、Grasshopperの曲線につなぐ。以降は全てGrasshopper。
・階数を定義。
・高さを定義。

次にポリラインのねじれを作る。
・回転を定義
・重心を回転の中心に設定
・階毎に同一角度を加えながら回転させることを定義

次にフレームのための軌跡を作る。
・ポリラインの等分割を定義
・各ポリライン毎に点のインデックスを表示
・ポリゴン内のインデックスを各ポリゴンの同一点のインデックスに変更する。
・通過点から曲線を描く

Grasshopper内のARCHICADのコマンドを割り当てる
・スラブを回転させたポリライン形状に配置
・梁をフレームの軌跡に配置

Grasshopperで設定した階数、階高、回転角度(ねじれ)、フレーム分割数でデザインを変えることはもちろんだが、ARCHICADで作ったポリラインがデザインのスタートに設定されているので、ポリラインをARCHICADで変更すると、根本的なデザイン形状をいつでも変えることがいつでもできる。これは普通のモデリング作業じゃまず出来ない。